旬の特集
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文書作成日:2020/03/26

 年次有給休暇(以下、「年休」という)は昨年4月の取得義務化の影響もあり、運用上、疑問が多くなるテーマです。そこで今回の特集では、年休にまつわる間違いやすい点について確認しておきましょう。


 労働基準法により年休は、勤続年数と出勤率(出勤した日数を全労働日で除した率)でその付与日数が決まります。具体的には、雇入れの日から6ヶ月間継続して勤務し、全労働日の8割以上を出勤した場合(以下、「8割要件」という)に初めて付与され、その後1年を経過し、8割要件を満たした場合に下表に基づいて次年度以降の年休が付与されます。

 この付与日数について、例えば2年6ヶ月を経過した際に出勤日数が少なく、8割要件を満たさなかった場合、表の2年6ヶ月が該当する「12日」の付与をしないことになりますが、次年度の3年6ヶ月を経過した際に8割要件を満たした場合、付与する日数は、表の3年6ヶ月が該当する「14日」となります。この点に関し、2年6ヶ月を経過した際に年休の付与をしなかったため、次年度の3年6ヶ月を経過した際には「12日」を付与すると勘違いしているケースが見受けられます。
 付与する日数を判断する継続勤務年数とは、雇入れ時からの勤務年数を指し、付与したか否かは関係ありません。



 年休付与基準である8割要件を満たすかを計算する際、次の期間は出勤したものとして取り扱われます。

  • 労働災害による休業期間
  • 育児休業および介護休業を取得した期間
  • 産前産後休業を取得した期間
  • 年休を取得した期間

 例えば、産前産後休業および育児休業を取得していたことで、年休の出勤率を算定する期間の全労働日を出勤していなくても、出勤率は10割となり年休が付与されます。
 なお、売上の減少等による生産調整のために、会社都合で休業をしたときのような、労働者の責によらない休業日は、出勤率の計算において全労働日に含めないこととなっています。



 パートタイマーから正社員、または正社員からパートタイマーなど、雇用区分が変更されることがありますが、変更により所定労働日数が変更となっても、すでに付与された年休の日数はそのままとなります。ただし、年休を取得した時に支払われる賃金は、取得時における賃金額で判断されます。
 この年休を取得した日の賃金は、就業規則(就業規則に準ずるものを含む)に定めることにより、以下のいずれかの方法で支払うことになっています。

  1. 平均賃金
  2. 通常の賃金(所定労働時間労働した場合に支払われる賃金)
  3. 健康保険法に規定する標準報酬月額の30分の1に相当する額(労使協定の締結が必要)

 正社員とパートタイマーでこれらの方法を分けていることもありますので、年休を取得したときの賃金額の計算を誤らないようにしましょう。



 年休を取得したことを理由に、賃金の減額やその他不利益な取扱いをしないようにしなければならないとされています。この不利益な取扱いとは、通達(昭和63年1月1日 基発第1号)で「精皆勤手当及び賞与の額の算定等に際して、年次有給休暇を取得した日を欠勤として、又は欠勤に準じて取り扱うことその他労働基準法上労働者の権利として認められる年次有給休暇の取得を抑制するすべての不利益な取扱いはしないようにしなければならないものであること」と示されています。
 年休を取得したことを理由に精皆勤手当を支給しなかったり、減額したりするケースも見受けられますが、これは不利益な取扱いに該当します。また、出勤率に基づき賞与額を決定する際に、年休を取得した日を欠勤として取扱うことも、不利益な取扱いとなります。


 2019年4月より、年10日以上の年休が付与される従業員に対して、少なくとも5日を取得させなければならないというルールが施行され、これで1年を迎えます。多くの従業員が年休を取得する中で、誤った取扱いなどがないようにしましょう。

■参考リンク
東京労働局「しっかりマスター 労働基準法 有給休暇編」
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000501862.pdf

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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